学習フロー丸わかり6ステップ
— はじめてのMLプロジェクト道案内 —
この記事の狙い
- "機械学習って何から始めるの?"を 3〜4分でイメージ
- 6ステップ と各工程の 費用・期間・リスク を把握
- 実務に落とし込む際の チェックリスト を得る
🔄 全体像を1枚図解
1
📥 データ収集
→
2
🧹 前処理 & 特徴量
エンジニアリング
エンジニアリング
→
3
✂️ データ分割
6
🚀 デプロイ &
モニタリング
モニタリング
←
5
🧪 評価 &
チューニング
チューニング
←
4
🏗️ モデル学習
1📥 データ収集(Data Collection)
まずは 良いデータ を集めることが成功のカギ。"Garbage in, garbage out" を忘れずに。
観点
ポイント
目的
モデル学習に十分な量と質のデータを確保
データの型
構造化(CSV, SQL)/半構造化(JSON, XML)/非構造化(画像, 音声, テキスト)
主な手段
既存DB抽出、公開API、IoTセンサー、スクレイピング、クラウドストレージに集約
チェック項目
同意取得(プライバシー)、ライセンス、タイムスタンプ欠損、重複行
📋 例:
- ・ECサイト:商品ID・価格・購入日時をログから抽出
- ・工場:センサー値を1分ごとにクラウド送信
2🧹 前処理 & 特徴量エンジニアリング(Data Prep)
モデル構築の 7〜8割の時間 はここに費やされます。地味ですが、最も精度に効く作業です。
作業
具体例
目的
欠損値処理
平均/中央値で補完、KNN補完、欠損フラグ追加
情報損失を減らす
外れ値処理
箱ひげ図で検出しウィンズライジング
学習を安定させる
特徴量作成
売上 → 売上の前年比・移動平均
テキスト → TF-IDF
テキスト → TF-IDF
モデルに役立つ"説明変数"を作る
エンコーディング
カテゴリをOne-Hot、日付を「月」「曜日」に分解
数値で表現できるようにする
🛠️ ツール例:
Pandas / Polars、scikit-learn ColumnTransformer
、Databricks AutoML
3✂️ データ分割(Train / Validation / Test)
テストデータは調理後に味見する最後のひと口。学習には一切使わない ことで真の汎化性能が測れます。
推奨比率
用途
やること
70 %
Train
モデルを"記憶"させる
15 %
Validation
ハイパーパラメータ調整、過学習チェック
15 %
Test
最終評価レポート用、1回だけ使用
⚠️ 時系列データの注意:
ランダム分割はNG。古い→新しい 時間順で切るタイムスプリット方式を採用。
4🏗️ モデル学習(Training)
まずは シンプルなアルゴリズム から。精度が足りなければ徐々に複雑にします。
アプローチ
使いどころ
初期設定の手軽さ
決定木 / ランダムフォレスト
変数が多く説明性を保ちたい
◎
勾配ブースティング(XGBoost, LightGBM)
Tabularデータで高精度を狙う
○
ニューラルネット(DNN, CNN, RNN)
画像・音声・自然言語の大量データ
△
AutoML
手動チューニングの時間がない
◎
🎛️ ハイパーパラメータ例:
- ・学習率
0.01
→ 速いが不安定。0.001
で安定 - ・決定木の深さ
max_depth
→ 深過ぎると過学習
5🧪 評価 & チューニング(Evaluation)
評価指標は ビジネスゴール に合わせて選択。クリック率ならAUC、在庫予測ならRMSEなど。
指標
適用例
読み方
Accuracy
スパム or 非スパム分類
正答率
F1-score
医療診断(陽性少)
適合率と再現率の調和平均
RMSE
売上予測、気温予測
予測誤差の平均的な大きさ
AUC
クレジット不正検知
1.0 完璧、0.5 ランダム
チューニングの流れ
- Baseline(デフォルト設定で精度を測る)
- パラメータ探索(Grid / Random / Bayesian)
- 交差検証(k-fold CV)で過学習チェック
- 最終モデルをTestデータで一度だけ計測
6🚀 デプロイ & モニタリング(Deployment)
モデルは作って終わりではなく "育て続ける" もの。本番に出した瞬間から管理が始まります。
項目
内容
デプロイ方法
REST API(Flask/FastAPI), サーバーレス(AWS Lambda), バッチ, モバイル組込み
バージョン管理
MLflow Model Registry, DVC, Git LFS
監視指標
入力データと学習時分布の差(データドリフト)
精度の低下(概念ドリフト)
レイテンシ/コスト
精度の低下(概念ドリフト)
レイテンシ/コスト
🔄 ローリングアップデート例:
- Shadow Test 新旧モデルを並行稼働し応答を比較
- KPIが上回れば Gradual Rollout(10%→100%へ段階移行)
- 監視で異常検知→自動リバート
まとめ — 6ステップをスムーズに回すコツ
- データ探索に7割の時間を割く
- 低品質データは後工程で10倍のコストになる
- 小さく回す→学習→修正
- 1,000行のサンプルでPipelineを組み、全量投入は後
- MLOpsを最初から意識
- デプロイ方法・監視指標を企画段階で定義
チェックリスト(コピーして使える)
- 目的とKPIが明文化されている
- データソースが確保でき、利用許諾も確認済み
- 前処理フローがスクリプト化され再現可能
- テストデータは完全未使用で保持
- デプロイ後の監視ダッシュボードが設置済み